2. 「地域ねこ」って?

 『地域猫』って言葉、聞いたことありますか?

 「野良猫」の言い換えでしょう? と思ったあなた、いえいえ、違うのです。地域猫というのは、《地域の中で人間と猫が共生できるように、適切に管理されているお外にいる猫》の事なのです。かと言って、自由にお外に行ける飼い猫じゃありません。ちょっと難しく言うと、「特定の飼い主はいないけど、その猫がいる地域の複数の住民やボランティア団体によって定期的にエサを与えられ、排泄も含む清掃をし、不妊手術を施されている猫」なのです。

 定期的にエサをもらえる事でゴミを漁る必要がなくなり、ごみステーションの周りが清潔に保たれ、カラスも減ります。トイレを作り、そこで排泄するよう誘導し、糞害に悩んでいる人を減らし、ついでに周辺も清掃するので町がキレイになります。不妊手術を施すので、発情期ごとのうるさい鳴き声はなくなり、オス猫独特の強烈なオシッコ臭が減り、子供が産まれないので猫の数が減ります。

 お外で暮らす猫の一生は、飼い猫と比べるとはるかに短いものです。まずは野良猫を地域猫に、そして地域猫がその一生を全うすれば、お家のない猫はゼロになります。

 地域猫活動とは、実は人間のための活動だったりするのです。

野良猫はどうして「いる」のかな?

あなたの家の近くにいませんか?
あなたの通る道にいませんか?
車に足跡をつけられて困ってませんか?
丹精こめた植物を荒らされてませんか?
玄関の前にうんこされてませんか?
実はコッソリ、エサあげてませんか?
猫、好きですか? 嫌いですか?

なんで野良猫っているのでしょう? 答えは簡単。
人間が捨てるから。
どうして捨てるのでしょう? 答えは簡単。
飼えないから。

車に足跡をつけるのも、花壇を荒らすのも、アチコチでうんこしていくのも
全部猫。
だけど元を正せば、そんな猫を生み出したのは人間ですよね?
人間のせいで、人間が困ってる。
なのに全部猫のせいにされている。
何かおかしくないですか?

もしあなたが野良猫だったら。
1日3食、食卓につけばご飯が出てくるわけはないから、ゴミ箱をあさるしかない。
ちゃんとしたトイレはどこにもないから、用を足すのに向いている所でするしかない。
本能の赴くまま、子孫をどんどん作る。

そうするしかないから、そうしているだけなのに
大きな生き物が怖い顔して追い掛け回してくる。
石を投げられたり、蹴りつけられたり
ひどい人間に捕まったら、足や耳や尻尾を切られたり
むごたらしく殺されたりする。

野良猫を減らすために出来る事はいっぱいあります。
『何もしない』事も、出来る事だったりします。